SHR:Gender Studies | 東進ハイスクール新宿校 大学受験本科|東京都

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2018年 10月 15日 SHR:Gender Studies

10/9 ブログ原稿「担任助手SHR:Gender Studies」

 

こんにちは。久しぶりの投稿となります、担任助手3年吉川真希です。

わたしは九月の末から大学の新学期が始まり、忙しいながらも充実した毎日を送っています。

気候もだんだんと涼しくなってきて、秋の訪れとともに、受験日が着々と迫ってきていることを肌で感じる季節ですが、皆さんはどうお過ごしでしょうか。

読書の秋、とはよく言ったもので、この過ごしよい気候は本当に勉強がはかどりますよね。

 

というわけで、みなさんの勉強欲を刺激すべく、私が夏休みに実施した担任助手SHRの内容をここで少しだけ紹介させて頂こうと思います。

 

SHRでは、私がいま一番興味を持って大学で取り組んでいる学問、ジェンダー・スタディーズについて紹介しました。

このブログでその内容全てを紹介することはできないので、この分野において最も根本的問題である「性差」にまつわる三つの概念ついて扱おうと思います。

 

みなさんは、「性差」と聞いて、何を想像しますか。

生殖機能の身体的な性差はもちろん、いわゆる「男らしい:masculine」「女らしい:feminine」で形容されるような性差も含まれるでしょう。

もちろん、性差は存在します。男女で身体の機能が異なります。

しかしここで強調したいのは、差異には必ず不均衡な権力関係が内在している、ということです。

性別をはじめ、人種や民族などといった例を考えてみてもこれは明らかです。

差別のない区別は存在しないのです。

 

ここで一般的に「性差」として語られるものに内在する差別を解き明かすの

に重要なのが、「gender: 社会的性差」「sex: 生物学的性差」「sexuality: 性的関心」です。

 

Genderは一般に、生殖機能などの身体的差異によって決定されるsexに付与される社会的な意味として定義されていて、それは「思想的・文化的構築物」であるとされています。

Gender性認識=gender identityと深くかかわっていて、生まれてから言語を通して形成されるgender identityは一度形成されると変わることはありません。

Sexは生まれた時に決定されますが、自分が男である、女である、どちらでもない、と言った認識は後天的なものなのです。

そもそも、sexの決定についても議論があり、本来スペクトラムで捉えられるはずの身体上の差異が「自然な」ものとして男女という二項対立で存在するとされていることは問題視されています。

さらに、「性差」を語る際にこの二つの異なる概念を区別せずに、sex=gender=自然な役割として、生物学的な特性が人の社会的な役割や職業の向き不向きまで決定し、更には権力関係のもとに扱われる「自然な」ものとしてその扱いが正当化されているのが現状です。

さらに、この男女二項対立の「自然な」性別は、sexualityをも自動的に決定づけているとみなされ、heterosexuality=異性愛であることが前提とみなされていることも大きな問題です。

 

では、この三つの概念の関係はどのようなものなのでしょうか。

この関係を説明したもので最も有名なのは、アメリカの政治哲学者・ジェンダー理論家であるJudith Butlerによる著作Gender Trouble: Feminism and the Subversion of Identity (1990)といっても過言ではないでしょう。

彼女は本の中で、「自然な」ものとされているsex・sexualityはgenderに規定されていると論じ、またgenderのperformativity=遂行性を主張しています。

例えば、男のsexをもち、heterosexualとしてのsexualityをもつ状態は、時間の中で「自然」とされる定型化された行動の繰り返しによって、社会的に構築されたものである、ということです。そして、そのそれらの行動の繰り返しがその人のgender identityを確立します。

 

つまり、genderに規定されたsexualityも含めた行動がsexそれ自体に暗示されており、それに基づく行動を遂行していくことがまたgenderを決定づける、ということです。

 

これらの概念を正しく理解しておくことは、gender studiesにおいてとても重要です。

ほんのさわりだけでしたが、どうでしたか。

このような論理構築、面白いと思いませんか?笑

 

興味を持った人がいたら、この読書の秋にぜひgender studiesに関する本も読んでみてください。

 加藤秀一『はじめてのジェンダー論』(2017)有斐閣ストゥディア

 千田有紀『女性学/男性学: ヒューマニティーズ』(2009)岩波書店

などはとてもわかりやすく説明してある入門書です。

 

最後までよんでくださりありがとうございました!

少しでも勉強に対する意識を刺激することができていたら嬉しいです。